指定規則改正に伴う高等看護学校教育の問題点
教育の本義を把握せよ
前多 豊吉
pp.19-21
発行日 1968年3月1日
Published Date 1968/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905985
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野放しだった看護教育
学校と養成所という言葉の区別はあるはずだが,こと看護婦になるとそれが極めて瞹眛になる。文部省も関係してつくられた規則のようだから,一体「教育」というものを文部当局はなんと考えているのか疑いたくなる。私は教育と名のつくものは職業教育であれ,科学教育であれ,それを通じて人間形成をめざすというところに教育の根本意義を見い出しているが,果して従来の看護教育は何ものだろうか。戦後の看護婦養成教育の歴史を回顧すると,この面ほど立ち遅れが著しく意識のうちに旧態依然たるものを含んでいるものはない元来わが国の看護婦は,いわゆる「養成」という名のもとに医師あるいは病院の看護要員として職業的訓練を受けたもの,あるいは学校類似の養成施設にて教育を受けたものが地方自治体管轄下の試験を受けて看護婦と呼称され,医院,病院に雇傭されるといったものであり,いっぽう医院側からみれば,有資格看護婦がいようが,無資格者が全部いようが医業運営にほとんど制約を受けないような状態でもあったから,まあ便宜主義的に医者側に使い易い要員を教育するといった医師会単位の養成所等で夜間等教育されて相当安易につくりだされていたものである。私の知人の小学校教員でも夏休みにちょっと勉強して看護婦の免状をとったというのもいるから,あまり公の制約がなく放置されていたものである。
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