文庫の窓から
『難経本義』
安部 郁子
1
,
松岡 尚則
1
1研医会
pp.816-822
発行日 2019年6月15日
Published Date 2019/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213181
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『素問』『霊枢』の解説書『難経』
『難経本義』は元代・滑寿が著した『難経』の注釈書である。滑寿,字は伯仁,号は攖*寧生(えいねいせい)。許昌の名家の出身。儀真(現在の江蘇省)に住み,また晩年は余姚(現在の浙江省)に過ごした。生没年は不詳。幼いときから儒学を習い,詩文もよくしたが,科挙は受からず,医の道を選んだという。名医王居中が儀真に滞在しているとき,居中に『素問』『難経』を学ぶ。その後,東平の高洞陽に鍼を学び,経脉・経穴を研究した。著書には『難経本義』の他に,中国の鍼灸家に広まり,江戸時代何度も刊行された『十四経発揮』や,脉診に関する内容をもつ『診家枢要』,初学者のために『素問』を12部に分けて解説した『読素問鈔』がある。
(*:櫻とする書物もみられる)
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