教育のひろば
看護教育制度について
島薗 安雄
1,2
1金沢大学
2金沢大学付属看護学校
pp.5
発行日 1965年11月1日
Published Date 1965/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905934
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わが国の教育制度は戦後著しく変ったが,これによって改善された面があると同時に,多くの混乱もおこっている。医学教育についてみると,戦後はじまったインターン制度や大学院制度に伴う諸問題がその例である。
インターンや大学院の制度の趣旨は本来結構なもので,これがよく運営されれば,医学教育は一層充実し,わが国の医学的レベルはあがるはずである。それにもかかわらず,今日これらが批判を受けているのは,これらの制度を順調に運営する上に欠くことのできない種々の基本的な条件が全くかえりみられなかったからである。例えばインターン生や大学院学生を教育するためには,多くの教官と設備が新しく用意されねばならないのに,この当然のことがほとんど行なわれなかった。大学院制度は,大学の医学部卒業後の教育体制全般の一部として考えられるべきであるのに,その全体的な構想のないままに大学院制度だけができてしまった。終戦後の変革にはこのように一見よさそうにみえながら,その実,内容的には,はなはだ不備な点が多い。
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