特集 看護研究—教育・管理を中心に
技能教科における教育方法改善の試み—コンセプトフィルムの適用
中西 睦子
1
,
藤田 笑子
1
1東邦大学医学部付属高等看護学校
pp.33-41
発行日 1967年12月1日
Published Date 1967/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905922
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I 目的
一般に教育の方法として伝統的に行なわれている一斉授業という方法は,学習者の個人差を無視し,学習効果の確認が不十分であるという点から,再検討の段階に立ち至っていることは周知の通りである。看護教育とても例外ではない。ことに技能教科については,その教授,学習特殊性から,これらの点についての解決が望まれるとともに,もし適切な解決方法が見出されるならば,その効果はきわめて大きいものと思われる。この技能教科の特殊性に関しては,次のように考えられる。一般に記述,説明的な教授内容の教科において問題とされる個人差は,主として学生個々の理解能力によるが,動作の習熟を目標とする技能教科においては,1)教授内容が視覚的な手段をも利用して学生に伝達され,2)学生がそれを理解し,3)さらに動作として表現するという三つの段階を経てその目標が達成される場合が多い。したがって,視覚的伝達方法についての物理的条件の相違(教師による実技のデモンストレーションの見え易さ,見え難さ),動作としての表現に関する個々の能力差(器用さ,不器用さ)等の点で個人差はより拡大されて現われる。
技能教科の一斉授業におけるこのような個人差の拡大を防止するために最も簡単な解決方法は,教師数の増加または学生数の減少による教師1人当たりの学生数の減少(理想的には個人教授)である。しかしこのような解決方法は,現状から全く遊離している。
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