院内管理のレベル・アップ 放射線
放射線部門の管理・5
フィルムのマイクロ化の試み
榊原 聰彦
1
1日大医学部放射線医学教室
pp.50-51
発行日 1977年2月1日
Published Date 1977/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206151
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医療高度化に伴って,X線診断の行われる機会が増加し,それと共に撮影されたフィルムの蓄積も急速に大きくなりつつある.フィルムは撮影された時点の患者の状態を客観的に示しうる貴重な資料であり,したがってカルテその他の検査データと共に日々診療にあたって,有効適切に使われなくてはならないことは申すまでもないが,また一方後日の再使用のためにも注意深く整理保存されるべきであろう.つまり十分な診療記録の管理を行わなくてはならないのであるが,これら資料の量は膨大であり,現物のままそれを保持するには大きな格納スペースと多くの人手を要するので,このような希望を実現することは必ずしも容易ではない.
さて在来,現像室を出た撮影フィルムは,主治医のもとに送られて利用され,保管され,当面不要となれば順次倉庫入りとなって,一定期間経過後は事情に応じてしかるべく処分されることが通常であったと思う.しかし,そのやり方では,相互連絡の困難さのために担当医以外のフィルム利用の円滑を欠き,不要の撮影の原因となり,あるいは紛失散乱を来たし,また不統一に倉庫に送られたフィルムは雑然と山積みされて死蔵としか申しえぬ状態になってしまうこともしばしばあった.加えてフィルムは診療上の資料であるばかりでなく,教育にも,研究にも得がたい財産であるため,もし可能ならば法定期間などに関わることなく,そのすべてを長期間保存したい希望がある.
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