学院長より一言
学問的研究の情熱を……
土田 学
1
1京都市立看護短期大学
pp.48-49
発行日 1967年8月1日
Published Date 1967/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905865
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私が現職について,学校のことどもを周囲のひとびとに話した時に,先づ驚いたのは,周囲の人たちの看護教育に対する理解が,非常にまちまちで,看護婦とは,単に医師の介助をすればよく,そのためにある程度の看護技術,看護知識を身につけていさえすればよい,という考え方が圧倒的に多いことであります。このような考え方が,社会を支配していたために,これまでの看護婦養成施設がつくられ,またこれまでの看護婦の社会的地位があったものと思われます。しかし最近,看護とは医学的な疾病をもった患者の肉体的,精神的欠陥を,すなわち患者という一人の人間全体を,医師の介助を行いながら,看護するものであると変ってきています。この考え方は第2次大戦後,昭和23年頃より,わが国にとりいれられているようですが,それより約20年を経た現在,未だに社会に,充分に浸透していないのは何故でしょう。医師,否看護婦自身にも未だ充分に浸透していないようです。
この新しい考え方を,今までの既成概念を打ち破って,一つの社会通念にまでもってくることは,その歴史からみて,容易なことではありません。ただ時間が解決してくれるものでしょうか。
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