グラビヤ
先史人の文化遺産サハラ壁画
pp.33-36
発行日 1964年5月1日
Published Date 1964/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905291
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サハラ砂漠はアフリカの三分の一以上をしめる世界最大の砂漠。かつてはここに人が住み,大きい河が流れ,緑の草木が繁茂していたという想像もつかない事実が1956年,フランスのアンリ・ロート氏を団長とするタッシリ遺跡調査団によって発見された。これが砂漠の中央にあるタッシリ・ヌ・アジェール丘陵の大壁画群である。太古つぎつぎとそこに移り住んだ先史人類の生活を知るうえに貴重な遺跡。緑野から砂漠へ変化していく様子が驚ろくほどモダーンな感覚でとらえられており,古代美術としてすぐれているだけでなく,人類学上あるいは考古学上からも非常に高く評価されている。壁画の時代区分については,大きく円い頭をもっているところから呼ばれる円頭時代,つぎに牛飼いの牧人時代,最後に戦車・騎乗の時代の三つに分けられる。各時代のなかから数点を選んでみた。それぞれの訓しい特徴はさておき,世界最大の砂漠の神秘を想いおこしながら鑑賞してみたい。
(この“サハラ先史壁画展”は2月15日〜3月15日西武百貨店で開かれた)
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