特集 人物評価のポイント
人物評価の基本的な考え方
辰野 千寿
1
1東京教育大学
pp.2-6
発行日 1964年3月1日
Published Date 1964/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905252
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
■人物評価のねらい
日常生活においても,“あの人は,たいへんまじめである”“あの人は,あまり公平ではない”というような人物評価が行なわれるが,教育においてはとくにそれが必要になる。学生を指導する場合には,ひとりひとりの学生の態度や行動が望ましいか,望ましくないかを判断し,よりよい方向に進めなければならない。また,指導の結果,どの程度よりよい方向に進んだかを判定しなければならない。職場においても,採用などのさい,職場に適する人物かどうかを評価しなければならない。このように,一定の教育目標とか,職場の目標,あるいはその個人の生活している社会の目標からみて,その人物がどの程度望ましいか,望ましくないかを判定することが人物評価といわれるものである。つまり,人物評価は,その個人について,一定の観点から価値判断をすることである。
しかし,ある人物について,一定の観点から価値判断をするといっても,まず,その人の特性をありのままに把握することが必要になる。どのような生活をしてきたか,知能の程度はどうか,どんな興味や欲求をもち,どんな人生観をもっているかというようなことが理解されなければならない。しかしながら,個人の特質を全部とらえることは容易ではない。毎日接している自分の身のまわりの人をみても,どの程度まで理解しているか疑問である。
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.