事例について考える
伸びていく学生に負けないで
久志本 はまえ
1
1和歌山県立高等看護学院
pp.6-7
発行日 1963年10月1日
Published Date 1963/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904441
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ずいぶん以前のことですが,一卒業生から「先生はわからずやで,気むずかしくて,そしていつも私たちを監督をしているようなので,在学中は敬遠をしていましたが……」という手紙を受け取ったことがあります。
この卒業生は,在学中,学科はすぐれており,対人関係においても,とりたてて問題となるようなこともなく,私たちとしては,手のかからない学生でした。卒業後,県外の病院に勤務,始めは儀礼的な挨拶状を寄せ,やがて帰宅の途次学院に遊びにくるようになり.その幾度目かに,私の母の手料理で,いっしょに夕食をしたのでした。この手紙は,そのあとでくれたものです。この学生に接した頃の私の態度を反省してみますと,いつも自分の欠点を出さぬように,そして自分のもっているもの以上のことを見せようと,ずいぶん重たい鎧を着て,学生に接していたようです。学生たちもたいへんな教師だと思ったことでしょう。
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