指導者の目
現実に問題を見いだせる人を
無着 成恭
pp.1
発行日 1963年10月1日
Published Date 1963/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904438
- 有料閲覧
- 文献概要
看護教育について,僕がかたるのはおこがましいけれど,教育という考え方の根本はみんな同じだろうと思います。医学の基礎は自然科学であり,その自然科学の法則を正しく順序だてて教えるためには,思想があるはずでしょう。看護も同様だろうと思います。形式をまねて,それを上手にできる人を育てることだけではないでしょう。なぜこうするのか,なぜしなければいけないのかという問題を持つ人,自分のやっている仕事が,人間の歴史の中のどの位置にあるかを知ることのできる人が大事なんではないでしょうか。
問題を意識しない人は,井戸端会議式に,人のうわさに関心を持つぐらいの人とかわりありません。もちろん,問題の意識の仕方によるのでしょうが,自分が真正直に仕事に取り組まなければ問題はみつけられない。その中でつかんだ問題を意識するんです。問題がなくて,技術が上手でも,本質的なことに関心を示さない人がいますが,それは仕事に打ち込んでいないことではないでしょうか。
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.