特集 生活指導はどうあるべきか
生活指導とはどういうことか
三枝 孝弘
1
1岡山大学
pp.8-11
発行日 1963年8月1日
Published Date 1963/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904411
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はじめに
先日,十数人の看護学生たちと話し合う機会をもった折,筆者が,「現代において人間が生きるということ,それは,笑顔がしだいに消滅してゆくプロセスなのかもしれない」といったら,静かな沈潜に代って,美しく若々しい彼女たちの「笑顔」が教室にみちあふれた。軽々しくこんな表現をしたために,このような反応を示したのかもしれない。もっと厳粛に深く人生をつぶやくように語りかけたのなら,そしてまた人が静かな眠りにつこうとするころ,薄明に包まれて語りかけたなら,あるいは違った反応が示されたのかもしれない。
「笑顔」とりわけ静かなるほほえみは,みずからをひややかに眺める時生ずるが,それは,金銭を追い,性を追い,金銭に追われ,性に追われあえぎながら,現代を生きる硬直した生においてはみられない。
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