予科期の実習
2.現実の動きに即応した計画で
海川 はるよ
1
1日赤女子短大
pp.18-19
発行日 1963年7月1日
Published Date 1963/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904400
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前近代的な現状を乗り越えて
わたしたちは卒業生をおくりだすまもなく,新入生を迎えました。毎年のことながら看護に対する大きな希望と純すいな理想に胸をふくらませて入学する1年生を迎えるたびに,看護教育の現状を思い,もってゆきどころのない悩みにかられます。
看護業務の確立,理想的な看護チーム,看護体系の将来など,いく多の問題をもつ不安定な看護制度のなかにあって,直後看護教育にあたるもののなやみは想像以上のものがあります。特定の一部の学校をのぞいて,大部分の看護学校,養成所の経済的基盤はあまりに貧弱です。あのようにもしたい,このようにもしたいと考えながらも,予算制約のためまったく動きのとれない教育内容,教育設備,いいすぎといわれるかもしれませんが前近代的な様相を呈しているように見えてなりません。国立大学の一学科にかかる何分の一のわずかな費用で,その何倍かの学生数の教育を求められています。もちろん現状の看護教育が一般大学のそれと質,量において簡単に比較てきるものとは思いませんが,その卒業生が求められる社会的責任,実質的責任をおもえば現状はあまりにみじめではないでしょうか。これらのあつい壁,大きな困難に直面しながらもなお,看護教育にあたるものはその責任を果たさなければなりませんが,これも開拓期にあるものに課せられた宿命と一人でなぐさめております。
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