Japanese
English
整形外科診療における最先端技術 Ⅲ.手術支援
4.Augmented reality
仮想現実,拡張現実技術を用いた脊椎,脊髄腫瘍切除術の術前計画と手術支援
-――患者個別データに基づいた画像空間認識による腫瘍切除の正確性向上を目指して
Application of virtual reality and augmented reality to planning and surgical guiding for spinal or spinal cord tumor resection
中西 一義
1
,
亀井 直輔
1
,
中前 稔生
1
,
森迫 泰貴
1
,
杉本 真樹
2
,
安達 伸生
1
K. Nakanishi
1
,
N. Kamei
1
,
T. Nakamae
1
,
T. Morisako
1
,
M. Sugimoto
2
,
N. Adachi
1
1広島大学大学院整形外科
2東京大学先端科学技術研究センター身体情報学分野
1Dept. of Orthop. Surg., Graduate School of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima University, Hiroshima
キーワード:
spinal tumor
,
spinal cord tumor
,
VR
,
AR
,
holography
,
surgical planning
Keyword:
spinal tumor
,
spinal cord tumor
,
VR
,
AR
,
holography
,
surgical planning
pp.194-197
発行日 2019年4月25日
Published Date 2019/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei75_194
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は じ め に
仮想現実(virtual reality:VR)とは,コンピュータで作り出した仮想の環境を現実であるかのように体感できる技術で,1960年代より多種多様な研究開発が行われている.また,拡張現実(augumented reality:AR)とは,現実環境において視覚,聴覚などの感覚に与えられる情報の一部を仮想的に拡張する技術である1,2).これらの技術は2016年にVR関連機器の市販化により急速に普及し,ゲームやカーナビゲーションなど,われわれの生活に広く浸透しつつある.医療分野においても,VRやAR技術は1995年より活用されるようになり,従来から行われてきた画像検査の新たな利用方法に機運が高まっている3).
これまではCTやMRIによる医用画像データから三次元(3D)画像を再構成しても,平面的なモニタで閲覧するのみであったが,VR/AR技術を用いることにより,より直感的に組織や病巣の空間認識力を向上させることができる4,5).これまでに手術計画や手術用顕微鏡の視野への投影による手術支援への応用が報告され3,6~9),脊椎外科領域においてはヘッドマウントディスプレイ(head mount display:HMD)を用いて,椎体形成術や,経皮的椎弓根スクリュー刺入の術中支援に応用され,有用性が報告されている10,11).われわれはこの技術を,症例によりさまざまな進展様式を呈する脊椎・脊髄腫瘍切除術の術前計画ならびに術中の確認に応用し,切除の正確性の向上に有用であったので紹介する.
© Nankodo Co., Ltd., 2019