報告
欧米の温泉場めぐり
永井 敏枝
1
1鉄道中央病院看護婦養成所
pp.33
発行日 1962年11月1日
Published Date 1962/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904289
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このたび約2カ月にわたって欧米各地を旅してきました。まったくの仕事を離れての外遊でした。11カ国を廻りましたが温泉地を多く歩きました関係で,外国における温泉療法についてご紹介しましょう。日本で温泉地に旅行というと,近年は健康者が都会を離れて,いわゆる遊びに行くところとなってしまっているようです。お酒をのんでドンチャンさわいで,あげくの果てにはとんでもない遊びまでしてというように。ところが欧米では,温泉地というのはいわゆる健康を害した方が行くところです。そして,そこのホテルは療養所となって静かに静養をつづけているのです。私たちが最初に行ったイタリーの温泉地ABANOではホテルに着くと「温泉に入りますか」との質問でしたので,日本のつもりで「ハイ」と答えると何やらカードをフロントで下さいました。日本でいう診察券ということが通訳でわかりました。とにかく何も勉強と思ってこの券を有効に使用しました。といいますのは,ホテル専属の医者にまず診察をうけなければ温泉にはいるわけにはいかなかったのです。イタリー語を知らない私は英語での問診で診察をうけました。「どこが悪いのか」という問に「どこもわるくない」というと不思議に思われて,何しにこの地を選んだかというまったく日本とは違った感覚でした。
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