アンケート
看護教育における一般教養雑感—どうしているか・どうしたらよいか
小野 殖子
1
1東北労災病院高等看護学院
pp.51
発行日 1962年6月1日
Published Date 1962/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904213
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学生の内心の声に耳を傾けて
“私たちにも教養科目を”という看護学生の声の底にはそれだけではかたづけられない複離な問題がもつれあっている。看護教育の歴史的変遷とその所産ともいうべきその時代時代の看護を職業とした女性の生き方,それにからまる社会との関係などがよかれあしかれ現代に生きる彼女たちにもつながっているという意識,また現代社会の中で将来人生のある期間を(人によっては生涯看護婦として)人びとに迎えられ,生きがいのある,自分で納得のできる生き方をしたい欲求。この自分に責任のない(?)過去の遺産と,こうありたいという願望を背負って歩かねばならない現実—この場合は好ましくない面がやりきれないほどつみ重なり,その自覚によってにじみ出てきた痛切な内心の声だろうと思う。
これを教育者がいかにうけとめいかに解決してゆくか—これは看護教育全体に課せられた重要な問題であるが,さて教養とは何かとひらきなおられると,辞典にあるような「知識や趣味が高く品格があること」のように,しかつめらしい概念がますますあいまいにかすんでうんざりしてしまい,はては何か弱よわしく上品なもの,人間くさくありたいのをがまんしてさとりすましたようなおしつけがましさを感じかねない。
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