マイク片手に 教務主任との一時間
社会保険中央高等看護学院を訪ねて
pp.26-27
発行日 1962年4月1日
Published Date 1962/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904174
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学生の主体性を尊重して
Q:学生に本質的な奉仕の精神をどのようにして学ばせるか,また教務はどうやってそれを教えておいでになりますか?
A:近ごろの若い人に奉仕の精神を教えにくいということは,感じておりますが,私は,そういう気持は,教えるというのでなく,学生自身が,だんだんに周囲の雰囲気とか,何かで,学びとってゆくものだと信じています。人から強いられるものではなく,お互いの人間成長の過程に自分で育ててゆくものだと思っています。ですから,私たちが教務で白いユニホームを着て,堅いむずかしいことを云っても,学生自体に,実感として伝わるものでなければ,結局根のないものだと思うわけです。どう感じとらせるかが,大へんに問題になると思っています。それと私たちのように,一番純粋に物事を信じていた年代に戦争と敗戦という経過があって,それまで正しいと信じていたことが,全く意味のないことだとひっくり返ってしまったような経験があるので,とても何をもって正しいこととし,最善のこととするか,とても自信がないのです。この辺に,いつも,私は日本の看護教育のむずかしさを感じています。ナイチンゲール精神とか,奉仕の精神とか,狭い言葉で言い表わすのではなく,人間の一生の基本的なもの,というような解釈ができないかと思っているのですが……。
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