Guide for Teachers 小特集・私は産婦人科看護法をこう教えている
妊娠中毒症
多田 ナホ
1
1東大病院産婦人科
pp.17-20
発行日 1962年3月1日
Published Date 1962/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904155
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I.はじめに
妊娠中毒症は学説の疾学であるといわれますが,胎盤毒物説,子宮胎盤貧血説,アレルギー説,子宮腎反射説,血行力学説,ホルモン説,妊娠失調説,遺伝説など,数えればきりがないほど,たくさんの学説があります。このように学説が多いということはその原因が不明で,いまだ研究の途上にある疾患であることを物語っていると思いますが,それだけにその看護もむずかしいのではないかと思います。ただ,はっきりしていることは,看護の必要性がきわめて緊急のものだということです。現在では優秀な利尿降圧剤が出現したり,治療法も進歩したため,昔のように重症妊娠中毒症や子癇による母体死亡はほとんどなくなっていることは幸いなことですが,なお残された問題として,児の予後,すなわち未熟児,子宮内胎児死亡のことや,母体の予後,すなわち後遺症や再発のことがあります。以下に私たちが実際に外来から入院までの妊娠中毒症患者の発見及び,その看護をいかに行なっているかを紹介し,更に東大産婦人科で行なっている妊娠中毒症の4型分類法を説明したいと思います。
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