疾患の病態と治療 病態管理の進歩
妊娠中毒症
本多 洋
1
Hiroshi Honda
1
1東京大学医学部産科婦人科学(分院外来)
pp.317-322
発行日 1977年4月10日
Published Date 1977/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205599
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
妊娠悪阻,妊娠中毒症,妊娠中毒症後遺症を含めて広く病態管理につき述べよという編集部からの注文であるが,筆者としては,妊娠悪阻を妊娠中毒症の中に包含して考えることには必ずしも納得していない。もちろん,両者とも妊娠によってのみ起こる異常であって,妊娠が終了するとただちに軽快するという特徴をもってはいるけれども,病態という点からみると,妊娠悪阻は,いうまでもなく,嘔気・嘔吐,食思不振,嗜好の変化などおもに消化管の症状を呈するものであるし,妊娠中毒症は高血圧,タンパク尿,浮腫(体重の著増)を主体とし,いわゆる腎・血管系に臨床的表現をもつものである。発病時期も異なり,病像も違うものを一括してしまうのはいささか早計のように考えるがいかがなものであろうか。
それはそれとして,これらの疾患のいずれも,本特集の標題としての"病態管理の進歩"という点からすると,ふりかえってあまりにそれが少ないことに気がつき忸怩たらざるを得ない。
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.