病院の少子化対策
高齢化・少子化社会を迎えて,小児科は今…
根岸 宏邦
1
1愛仁会高槻病院
pp.699-701
発行日 1995年7月1日
Published Date 1995/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901561
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はじめに
最近,小児科の患者が少なくなっているという嘆きを,小児科医の集まりでよく耳にする.確かに近年,診療所でも小児科単科でやっていけるところはほんのわずかになっているはずである.
昨年,日本小児科学会の社会保健部では,小児病棟への保母の導入についてのアンケート調査を,小児科学会認定の臨床研修病院について全国的に行ったが,その過程において小児科臨床研修病院における小児科病棟の実態が少し浮き彫りにされた(「小児保健研究」投稿中).この調査は,全国の小児科学会認定研修病院が対象であるので,それぞれの地域では小児医療の中心的な役割を果たし,なおかつ卒後教育の根幹を担っている病院であると考えられるが,調査結果によれば国立から私立に至るまで,小児専用病棟をもたない病院が25〜27%存在しているという事実に驚かされる.すなわち,小児の入院患者数の減少により小児専用の病棟を維持していけなくなっているのである.また,研修病院でありながら平均の入院数が5〜6名というところがかなりあり,小児専用病棟を有する病院にしてもその占床率は80%前後である.すなわち,小児専用病棟を維持することが経済的にも非常に困難な状況が窺える.
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