特別講義
看護と看護学―「科学的」看護の限界
河野 裕明
1
1国立療養所久里浜病院
pp.380-385
発行日 1993年5月25日
Published Date 1993/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903669
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医(Medicine)の最初の基本構造
図1は,看護の核心を考えるために,生存科学的視点より考案した,看護をも包括する医の最初の基本構造図である.これは,最初の不可分の内的無限の意味と可分の外的無限の関係の存在順序と,不可同の内的有限情報と外的有限機能を,可同の合理的概念で不可逆の統一的基本秩序にした概念図である.
医学でも医療でもない西欧の医概念(Medicine)は,図1のごとく,理性の関係的対象性である科学の抽象的情報と,感性の機能的主体性である核心の具象的意味ある愛が補完的に統合された人間関係の臨床的治療行為があるのみであり,看護行為と同一であるが,ただ法的権限でその具体的治療行為の範囲が限定されているのみである.従って,昔,治療とは抽象的科学情報が少なく,核心愛の具象的肌のヌクモリによる看護が主流であったので,治療とは看護の言葉だったのである.しかし,科学が発達した現在では治療とはcureが主流となっている.
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