連載 1つの看護教育史 1946~53 東京看護教育模範学院で学んだ人々・8
寮生活で育てられた思いやりの心と職業意識
青木 康子
1
,
新井 妙子
2
1東京都立医療技術短期大学
2前:最高裁判所人事局能率課
pp.634-637
発行日 1992年8月25日
Published Date 1992/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903622
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現在の看護学校では,全寮制をとる学校は少なくなった.寮をもっていても希望者のみであったり,管理を学生の自治にゆだねていたりする.しかし,寮生活で学んだことは計り知れないほど多かった.今回の東京看護教育模範学院で学んだ人々に対して行なったアンケートの中でも,寮生活に関する質問には多くの回答が寄せられた.寮生活によって初めて感じた親の恩,人を思いやる心や協調性,生活の中でしつけられた職業人としての心得など,多岐にわたっている.
人間を対象とする看護の社会では,人間を理解するということは,重要な課題であり,時代を越え,あるいは,生涯を通しての命題ともいえるものである.とくに現代にあっては兄弟姉妹が少なくなり,テレビゲームなどの1人遊びが普及し,核家族化に加えて子供部屋の個室化など,乳幼児期から共に生活する中での人を知る機会や時間が,昔に比して非常に少なくなっている.そのような中で,看護学校に入学して1年ぐらい,寮生活を経験することは,人間理解に大いに役立つように思われる.実際に1年生のみ全寮制をとっている看護学校もあり,それなりの成果をあげているときいている.
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