特集 看護教育の大学・大学院化
看護学教育における博士課程の必要性―28年前の幻の大学院の誕生と消滅が意味するもの
杉森 みど里
1
1千葉大学看護学部
pp.164-173
発行日 1991年3月25日
Published Date 1991/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903583
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はじめに
今後5年間に20万人の看護婦が不足すると新聞が報じ,テレビ番組などでも看護婦不足の問題を盛んに報道し,毎日のように新聞のどこかで,看護婦に関する読者の声を掲載している昨今である.看護婦の不足問題は,今や社会問題に発展している.
このようなときに必ず出て来るのが,泥縄式のいかに早く,安く,効率良く,手軽に看護婦を社会に供給するかという方法論である.そんな都合のよい魔術がないことを知りつつ,安直な方法へと,社会は進みやすいのもまた事実である.
ここで看護婦養成教育を大学でという問題を飛び越えた,大学院の問題,しかも博士課程の設置とその必要性について論じることは,一見非常識のように感じる読者もおられるであろう.しかしこのような時期であればあるだけ,看護婦養成教育のあるべき制度につき,教育に携わる看護婦の見解を確固たるものにしておく必要を感じ,あえて論を進める次第である.
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