Scramble Zone
よりよい看護実践能力の育成のために―オーストラリアの現状報告
加古 まゆみ
1
1神戸市看護大学
pp.1009-1014
発行日 2003年11月30日
Published Date 2003/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903551
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はじめに
平成14年3月に看護学教育のあり方に関する検討会が「大学における看護実践能力の育成の充実に向けて」の報告書を出したのは記憶に新しい.その中の「臨地実習指導体制と新卒者の支援」という項目では,臨地実習指導における体制上の問題から,学生の看護実践能力の評価,新卒者への支援まで,看護教育における実習に関して問題提起がされている.
筆者は,以前オーストラリア(以下,豪州とする)の大学へ編入学した経験を持つ.豪州では,1993年に国内の看護教育は,それまで主に行われていた職業高等専門学校での教育や,病院内での看護教育ではなく,すべてのRegistered Nurse(日本の看護師に相当.以下,RNとする)教育は大学教育へと一斉に移行した.大学教育に移行して約10年がたっているが,その移行期前後から看護師の資質をどのように向上させうるのか,問われ続けてきた.看護実践能力を持つ,よりよい看護師を育てるということに関しては,日本においても同様の局面を迎えている.本稿では,筆者が現地で得た実習の経験や教育制度の違い,そして卒業時の看護実践能力の適正基準の紹介をしていきたいと思う.
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