特集 看護師国家試験出題基準の改定
看護師国家試験出題基準(全文)
人体の構造と機能
pp.826-829
発行日 2003年11月25日
Published Date 2003/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903518
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
専門基礎分野の「人体の構造と機能」は,看護の対象である人間の身体について学ぶものである.看護学では,日常生活行動が人間の生命活動につながる営みであり,対象者の日常生活活動を援助することは,すなわち生命維持にかかわることであるという認識に立って人体を理解する必要がある.この点から日常生活行動と生命活動のつながりと,人体が日常生活行動をどのようなしくみで行っているかを問う内容を組み入れた.
人体は皮膚と膜によりおおわれ,外界と区別された個体である.体内では血液を媒体にして,血管という流通路によって,細胞1つひとつに栄養や酸素を行きわたらせ,細胞はそれを使ってその細胞固有の機能を果たし,産成物や不要物を血液中に排出している.細胞の集合体である人体は,細胞の活動が保たれていることによって生きており,細胞の活動を保つために,細胞を取り巻く内部環境を一定範囲内に保つ種々の調整機構が備えられている.しかしながら内部環境の恒常性は,個体の調節機構のみによっては保つことはできず,外部環境との物質交換が必須である.すなわち外部環境から栄養,酸素を取り入れ,不要な代謝産物を外界に排出し,内部環境を保っているのである.これらの外部環境とのやりとりは,息をすることや食事をすることなどの日常生活行動である.また日常生活行動には,個体の維持のほか遺伝子情報の維持に関する生殖も含まれる.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.