連載 解剖からみるフィジカルアセスメント 訪問看護必携ノート・17
腎移植
小野 美穂
1
,
三井 明美
1
,
森山 信男
2
,
安酸 史子
2
1岡山大学大学院保健学研究科修士課程
2福岡県立大学看護学部
発行日 2003年11月25日
Published Date 2003/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903510
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腎臓の働きについて教えてください.
腎臓の機能として最も重要なものは,排泄臓器としての機能です.代謝産物の排泄,水分・電解質のバランス,酸塩基平衡の調節,浸透圧の調節などを行い,体内の環境を一定に保ちます.その機能の産物として尿が生成されます.腎臓は体液の調節を行うために,血液を1分間に約1000mlも濾過します.腎臓の大きさや重量から考えると,この血流量は膨大です.そして,糸球体を濾過される原尿は1日170lにも及び,その殆どが再吸収されます(99%再吸収).この原尿を再吸収する間に,必要なものを水分とともに吸収し,過剰な物質の吸収抑制を行い体液の恒常性を保つのです.
しかし腎臓には排泄機能以外に,内分泌臓器としての重要な機能を持っているのです.腎臓が産出する物質としてレニン・エリスロポエチン・プロスタグランジンなどが知られています.レニンは傍糸球体細胞から分泌される酵素で,レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系の血圧上昇因子として有名です.腎臓で産出されるプロスタグランジンは,血管拡張やNaの排泄促進作用があり,血圧低下因子として注目されています.エリスロポエチンは,骨髄での赤血球産出を亢進する酵素です.更に,腎臓はビタミンDの活性化に必要な臓器として知られています.ビタミンDは骨の代謝に関与します.
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