連載 解剖からみるフィジカルアセスメント 訪問看護必携ノート・15
血管障害と痴呆
小野 美穂
1
,
三井 明美
1
,
森山 信男
2
,
安酸 史子
2
1岡山大学大学院保健学研究科修士課程
2福岡県立大学看護学部
発行日 2003年9月25日
Published Date 2003/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903455
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初発症状から脳疾患をアセスメントする方法を教えてください.
それまで全く元気だった人が突然頭痛を訴え,急激なめまいが出る,意識をなくす,半身が麻痺して動かなくなる,呂律が回らなくなるといった症状を呈した時は脳出血が考えられます.多くの場合,日中活動中に起こり頭痛の訴えは軽度です.脳内への出血が多いと急激な脳圧亢進が起こります.異常な高血圧や呼吸数の乱れがある場合,予後は不良となる傾向が多いようです.基礎疾患として高血圧症や出血傾向の高い人(肝機能の低下や血友病,ワーファリン内服中の方等)脳動静脈奇形を有する患者さんはリスクが高くなります.
脳梗塞は一般に高齢者に多く,上記にのべたような症状を呈します.一方,脳梗塞は殆ど頭痛を訴えない,多くは夜間睡眠中,或いは食後休んでいる時に発生します.微細な脳梗塞はしばしば頻回におこり,かつ本人の自覚を欠く事があります(多発性脳梗塞).塞栓は,老化や生活習慣に起因するアテローム動脈硬化巣からの栓子や,心疾患により心房内の血流が乱れによる心内壁に生じた血栓によって起こります.骨折によって起こった脂肪滴が血管に混入し,脳梗塞を起こす場合もあります.そのため動脈硬化症や不整脈のある高齢者はリスクが高くなります.
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