連載 解剖からみるフィジカルアセスメント 訪問看護必携ノート・14
チアノーゼ
三井 明美
1
,
小野 美穂
1
,
森山 信男
2
,
安酸 史子
2
1岡山大学大学院保健学研究科修士課程
2福岡県立大学看護学部
発行日 2003年7月25日
Published Date 2003/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903434
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チアノーゼとはどんな状態をいうのですか?
チアノーゼとは,ふつうの状態では赤みがかっている皮膚や粘膜の部分が,青紫色を呈する現象をいいます.これは皮膚毛細血管を流れる血液が過度に暗色をおびるためです.血液中の赤血球に含まれているHb(ヘモグロビン:血色素)に酸素が結合すると酸化Hbとなり,全身の組織に酸素を運搬します.この場合,血液は鮮紅色を呈しています.組織において,酸化Hbが酸素を放出し,還元Hbになると,血液は暗色をおびてきます.チアノーゼは,この還元Hbの量が5g/dl以上存在するときに明らかとなります.
このような変化は,最も薄い皮膚や粘膜で毛細血管が覆われている部分,すなわち,口唇,指趾の爪,頬,耳などで容易に観察・判断することができます.一般にチアノーゼは,低酸素血症の所見と考えられていますが,病態によっては必ずしもそうではありません.低酸素血症が存在しなくても,多血症などでは,還元Hbが増大し,チアノーゼが出現することがあります.また,何らかの原因によってHbそのものが減少している場合には,チアノーゼを認めなくても低酸素血症が存在することがあります(このことについては別枠で少し詳しく説明していきます).
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