特集 看護学生の論文―大賞・入選論文の発表―看護のこれからを担う学生たちから寄せられた22篇
基礎実習前後の看護学生に対する効果的な感染予防対策教育を考える
和久井 君江
1
1新潟県立看護短期大学
pp.606-607
発行日 2003年9月25日
Published Date 2003/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903468
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実習先で学生が感染する可能性はどのくらいあるのだろうか.平塚によると,看護教育機関(看護大学,看護短期大学)97校のうち,結核や小児期の特有な感染症に関する感染事故経験を有する大学は25%前後であったという1).感染の可能性は意外に多い.また,MRSAなど,院内感染が問題となっており,学生が感染の媒介者になる可能性もある.学生自身への感染と,患者への感染の媒介者になる可能性があるという点で,感染予防対策は重要である.そこで,基礎実習が終わった今,感染予防についてどの時期に何をしたらもっと効果的かを考えてみた.
本校では,2年の秋に初めての実習(基礎実習)がある.学生は,実習に出るまでに学校で感染症やその予防に関する講義をいろいろな科目で受ける.しかし,感染予防と銘打った講義は,基礎看護学で1コマ程度である.詳しい感染予防についての講義は,実習の後に成人看護学の授業であった.実習現場では,授業で学んだことがそのまま通用しなかったり,思うように行動に結びつかなかったりすることがある.そのため,実習先で適切な行為ができているのか不安を感じる.例えば,MRSAが感染症であることを知っていても,患者を目の前にしたとき,どう対処したらよいのかわからない.手洗いを基本として学んできたが,現場では消毒薬を手洗いの代わりに使用することがあり,使い分けをどうしたらよいのか迷うなどである.
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