Hello Nursing・1
出発前後
姉崎 宜子
pp.88-90
発行日 1970年4月1日
Published Date 1970/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914848
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□はじめに□
私は,昭和42年夏から44年夏まで英国に滞在した。その2年間の大部分をイングランドの北の街マンチェスターの教育病院1)で看護婦として生活した。外国での生活体験記は巷に氾濫しており,そのなかには看護婦の手になるものも少なくない。この海外生活記の洪水のなかで,もし私の体験記が主張し得る特色があるとすれば,それは何であろうか。まず私の場合,上記の病院への就職が政府や団体の交換計画や研修計画ではなく,全く私的あるいは個人的なものであったこと。さらに,英国それも国際都市ロンドンではなくて,ある意味ではもっと英国的な地方都市マンチェスターで,職場では看護婦として家庭では主婦として,英国の社会の一部分にくり込まれての生活体験であろう。
日本と英国の往復の途中,東西ヨーロッパのそこかしこを見て来たこともなんらかの形で私の“物の見方”に影響を与えているかもしれない。すでに記したごとく,私の英国での2年間の看護婦生活は,英国の看護を学ぶための研修ではなかったので,ざっくばらんな皮膚で感じた病院内外での体験やそれについての感想を中心として記していくことを,この連載を始めるにあたり了解しておいていただきたい。
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