特集 口と食べることとの関係―QOL向上を目指して
摂食・嚥下障害の患者へどう対応するか―「間接・直接嚥下訓練マニュアル」を作成して
菊池 真美子
1
1国民健康保険藤沢町民病院・理学療法科
pp.268-273
発行日 2003年4月25日
Published Date 2003/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903386
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はじめに
摂食は,単なる栄養補給のためだけではなく,人間の根源的欲求である「食べる楽しみ」という側面もあわせ持っている.摂食が阻害されると,栄養補給ができなくなるのはもちろん,窒息や誤嚥性肺炎など,生命の危機にさらされる場合が少なくない.厚生労働省の平成13年人口動態統計1)によると,日本人の死因の第4位に肺炎が挙げられ,特に,70歳以上での急激な死亡率の上昇が認められる.高齢者の肺炎の最大原因が「誤嚥」であると言われている.今日の高齢化に伴い,誤嚥性肺炎の罹患率は今後も増加することが予測され,虚弱な高齢者は,死の危険にさらされる可能性も高いと考えられる.
当院でも同様に,誤嚥性肺炎に罹患する患者数は増加している.また隣接する介護老人保健施設,特別養護老人ホームにおいても,誤嚥性肺炎の危険性がある利用者を少なからず抱えているのが現状である.
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