連載 病態生理学講義ノート・11【最終回】
神経系疾患を理解するための脳・脊髄の仕組み
内藤 恭久
1
1浜松医科大学病理学第一講座
pp.1096-1102
発行日 2002年12月25日
Published Date 2002/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903335
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
わたしたちの身体の器官・組織・細胞は,お互いに協調しつつ同時に調和を保ちながら生命活動を維持しています.すなわち,身体の内部や外部からもたらされるさまざまな環境・刺激の変化に対応しながら身体の恒常性を維持しています.また,その生命維持を制御しているのが神経系,内分泌系,および免疫系なのです.そして,それらの調節系の中でも学生が最も不得手の1つとしている教科が神経系調節とその疾患です.したがって,本稿ではこの課題について紙数の許すかぎり取り上げてみたいと思います.もちろん,神経系は全身に行きわたってネットワークを形成していますので,そのネットワークの調節はいずれの部位においても乱れる可能性はあるわけです.たとえばそれは運動器系の疾患であったり,言語・情動・判断といったような高次の統合機能の異常であったり,感覚器系の疾患であったりします.これらを1つひとつ取り上げていたら枚挙に暇がありませんので,本章では神経系疾患を理解するための正常の基本的な神経系の機構について平易に解説します.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.