連載 病態生理学講義ノート・9
血液循環(2)―血圧の働きと仕組み
内藤 恭久
1
1浜松医科大学病理学第一講座
pp.820-823
発行日 2002年10月25日
Published Date 2002/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903289
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はじめに
前号では血液の役割と心臓の拍動のメカニズムについて話しましたが,血液の役割をみたすためには身体を構成している細胞の隅々にまで十分量の血液を送りこまなくてはなりません.どのような状態になれば身体の隅々にまで十分な血液が行き届くのでしょうか.それを体表から遡及的(retrospective)に推し測る指標となるのが,医師や看護師が日常的に行っている血圧・脈拍・心拍測定です.すなわち,心臓が血液を押し出す力とその結果としての血液の流れの勢いを体表からアセストしていることになります.血圧は血液を身体全域に送りこみ,細胞の代謝が円滑に行えるようにするために必要な血液の駆動力になっています.もし,血液が細胞に行き届かなくなってしまうと,細胞に必要な酸素・栄養・ホルモンなどが不足し,細胞は立ち所に死んでしまいます.
まず,生理学的観点からお話しましょう.
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