連続座談会 脳とこころ―21世紀の課題
Ⅲ.脳における統合の仕組み
伊藤 正男
1
,
金子 邦彦
2
,
谷 淳
3
,
土屋 俊
4
,
宮下 保司
5
,
藤田 道也
6
1理化学研究所脳科学総合研究センター
2東京大学大学院総合科学研究科
3理化学研究所脳科学総合研究センター
4千葉大学文学部行動科学科
5東京大学大学院医学系研究科
6浜松医科大学
pp.45-66
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902374
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伊藤(司会) これまで二回にわたり脳とこころの関係を議論してきました。今の脳科学は,細胞,シナプス,受容体,遺伝子へと還元論的に脳に迫ってきましたが,今世紀は脳を複雑なシステムとして見直す時期だという感を強くします。しかし,脳は時計を組み立てるような単純なシステムではなくて,とてつもない,宇宙に匹敵するようなシステムです。そういうものをどうやって扱っていいかが実際にはよくわからないのですね。
脳の複雑なシステムというと,脳全体の複雑なシステム構造という見方と,脳の一つ一つのブロックがそれぞれたくさんの要素からなる複雑なシステムという見方があります。今日は,この両方の立場から脳をみて,こころの問題にどう結びついていくかを議論していただきたいと思います。
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