癒しの環境
「ぬいぐるみ」と癒し
岩井 美詠子
1
1日本医科大学医療管理学
pp.72
発行日 1999年1月1日
Published Date 1999/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902604
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ピエールの訪問
12年前の冬,米国コロラド州に移ったばかりの筆者は,ひどい胃けいれんに悩まされた.毎夜訪れる激しい痛みに,日本から持参した医師処方の胃薬も効かず,痛みのひどくなる夜におびえる毎日だった.ある晩,いつものように痛みで七転八倒していた筆者の耳に「ポムポム」という,何か柔らかいものが筆者の部屋のドアを叩く音が聞こえてきた.やっとの思いでドアを開けると,そこには「だっこして」とばかりに両手を広げた,一抱えはある大きなパンダのぬいぐるみが置いてあった.その手首には,「僕はピエール.あなたの痛みを取るためにやってきました.僕を強く抱きしめて下さい」と書かれたカードが付けられていた.このパンダを抱いていると,お腹が暖められたのか,間もなく痛みも落ち着いた.この奇妙な「ピエールの訪問」は毎晩続き,いつの間にか私の胃痛も治ってしまった(図1).
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