連載 私のすすめる本・1【新連載】
男性論
矢原 隆行
1
1福山市立女子短期大学
pp.46-47
発行日 2002年1月25日
Published Date 2002/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903128
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先日,といってももう9月のことだが,福岡市で開催された「男のフェスティバル」に参加してきた.女性ばかりでなく多くの男性にとってもまだあまり聞き慣れないであろうこのフェスティバルは,1996年以来毎年開催されており今回ですでに第6回をむかえる.パンフレットに書かれた実行委員会の説明によると,その目的は,「男性問題に関心を持つ全国の男性たちの交流」ということである(ただし,フェスティバル自体には女性の参加者も少なくなかった).
しかし,おそらくこの「男性問題」という言葉自体,比較的人口に膾炙している「女性問題」に比べると,まだ十分に市民権を得ているとは言い難いだろう.そして,そもそも「女性問題」とは,男性中心に形作られている社会において様々な水準で抑圧・差別されてきた女性たちの問題である以上,抑圧者である男性の側にいったい何の問題があるのか,というある意味ではもっともな批判を抱かれる方も少なくないかもしれない.では,「男性問題」とはいかなる問題なのか.
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