講座 実地医家のためのホルモン講座
ホルモン療法の実際・11
男性不妊
守殿 貞夫
1
Sadao Kamidono
1
1神戸大学医学部泌尿器科学教室
pp.848-851
発行日 1986年11月10日
Published Date 1986/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207491
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不妊夫婦の原因を男女別にみると,男性側,女性側および男女両側因子の占める割合はそれぞれ約1/3とされる1)。この男性不妊の大部分は精子形成機能障害によるもので,その原因として精索静脈瘤,内分必学的異常,精巣の血流障害,免疫因子および熱性疾患の関与などがあげられる。しかし,実際の臨床の場ではこれら原因が明らかにされ,特異的な原因療法が行われることは少ない。精索静脈瘤に対する内精静脈の高位結紮術2),低ゴナドトロピン性性腺不全症および甲状腺機能低下例に対するホルモン療法などがその代表であるが,男性不妊症例は未だ経験的に治療されることが多い。本症に対する治療成績は必ずしも良好とは言えないが,不妊夫婦にとって子宝に恵まれたいという願いは極めて強いことから,これら男性不妊に対して積極的な治療が行われている。
一般に,正常の精子形成機能を賦活・調整するものとして,最近ブラディキニンなどの組織性ホルモンやcha—loneなどの関与が示唆されているが3),依然として性ホルモン以外に明らかなものは知られていない3)。
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