焦点
家族への想い
満留 弘美
1
1前:多磨全生園
pp.622-623
発行日 2001年8月25日
Published Date 2001/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902556
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この3月まで,私は多磨全生園の看護婦長として勤務していました.患者の家族への想いについて,お話ししたいのですが,はじめにお断りしておきたいのは,ここでいう「患者」とは,具合が悪くなって病棟に入院した患者さんのことです.多磨全生園に暮らしていても,現在では治っているのでハンセン病の患者ではありません.療養所に暮らす人は「入所者」と呼ばれます.治療病棟に入院した場合に「患者」と言います.
患者さんの家族への想いは年をとればとるほど,自分の命が短くなればなるほど深くなり,死の間際には切ないほど家族の愛を求めますね.かつて,韓国の方で,娘さんたちがお母さんの側にソファベッドを置いて,ずっと見守っていたことがありましたが,こういうことは,たいへん稀です.患者さんの想いに,なかなか応えてくれない家族が多いのが現実です.
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