連載 生活空間論 生命のみなもと・3
地域と施設の生活の落差(2)
外山 義
1
1京都大学大学院・居住空間工学講座
pp.172-175
発行日 2001年3月25日
Published Date 2001/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902460
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住み慣れた地域から,施設へと生活の場を移すことになった高齢者は,厳しい生活の落差を経験することになる.前回は「空間」と「時間」の視点からその落差について述べたが,今回は「規則」,「言葉」,「役割」の視点から考えてみたい.
それに入る前に,前号を読まれた読者の方からいただいた質問にお答えしておきたい.それは前号写真4の意図を問い質すものであった.再掲するが(写真2),この写真は近年竣工したばかりの,ある特養ホームの痴呆専用棟の内観写真である.4,5メートルの幅広い廊下のようなホールを挾んで左右に4人部屋が並んでいる.ホールの中央には病院の待合室にありそうな背もたれのないベンチが並び,ホールの突き当たりには横長の覗き窓がついた大きな引き戸が引かれている.
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