特集 男子学生の現在
看護教育の場におけるジェンダー構築―男子看護学生をめぐる状況
矢原 隆行
1
1福山市立女子短期大学
pp.34-38
発行日 2001年1月25日
Published Date 2001/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902428
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はじめに
現在に至るまで,日本の看護界において男性看護職員はながらく少数派にとどまっている.日本看護協会が1997年に発表した統計1)によれば,1996年の時点で,看護職就業者全体に占める看護士(准看護士を含む)の比率は約3.6%.また,男性看護要員の配置に関する調査結果2)によれば,男性看護職員のうち約半数は,精神科病棟への配置というきわめて偏った配置状況にある.一方で,近年,男性の看護職への進出は,量的にも増加,質的にも多様な領域への広がりを示しつつある.先にふれた日本看護協会による統計においても,1986年を100とした場合の指数において,1996年には看護職員全体の数が143.4と約1.4倍に増加しているのに比べ,男性のみでは179.8と約1.8倍に増加しているし,男性看護要員を配置している病院の比率も1991年時点では49.7%であったものが,1995年には56.3%に増加している.
こうしたなか,近年,看護雑誌等において看護士をテーマとした特集3~5)が組まれたり,また,様々な角度から男性看護職に焦点をあてた研究6~10)も散見されるようになってきた.そこでは男性看護職員がその職務の遂行に伴って抱える諸問題が,いくつかの角度から検討されている.しかし,彼らはそもそも,いかにしてその固有の課題をはらむ存在である「男性看護職」として位置づけられてゆくのか.
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