連載 ジェンダーの視点から地域・生活を考える・1【新連載】
“ジェンダー”に敏感でありたい
高橋 由紀
1,2
1民族学興会
2小澤高等看護学院
pp.72-75
発行日 1996年1月10日
Published Date 1996/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902817
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昨年(1995年)8月30日から9月15日まで,北京において,「平等・開発・平和」をテーマに第4回国連世界女性会議が開催された。会議は,行動綱領を採択するための政府間会議と,世界各国の市民のアピールの場であるNGO(非政府組織)フォーラムの二本立てで進行し,約4万8000人が参加した。日本からは,約5000人という大勢が出かけ,筆者もその1人としてNGOフォーラムに参加した。
10日間で5000余りのワークショップが行われ,さまざまな女性の状況について討議された。たとえば,開発途上国では貧困のしわよせが女性に集中していること,ボスニアなど今なお戦争が続いている国では,戦争が女性への性的暴力を増長させていること(第二次世界大戦中の日本軍従軍慰安婦問題も,過去のことではなくまだ続く問題として,アジア諸国の注目を集めた),宗教的戒律が男女の地位を固定化させていること,など。一見平和な日本からみると,このような切実な女性の問題は遠いところにあるように思えるかもしれない。しかし日本でも,女性が苛酷な労働と家事・育児の三重負担に疲れ,自分の人生よりイエを優先させて生きていたのは,過去のことだと言い切れない。
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