特集 医療倫理を学ぶ―21世紀における看護者の教育
第3部 事件から学ぶもの
脳梗塞患者の治療とリハビリテーション
清水 祥史
1
,
横山 一彦
2
,
糸満 盛憲
2
1北里大学大学院医療系研究科医学専攻博士課程
2北里大学病院リハビリテーション部
pp.943-948
発行日 2000年11月30日
Published Date 2000/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902391
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はじめに
人は,病気になった時,その病気に対する不安,治療に対する不安,病気や治療に起因する社会的不利益に対する不安など,さまざまな不安と相対する.中でも脳梗塞患者は,急性期治療においては厳重な医学的管理下におかれ,また,治療およびリハビリテーションのために長期にわたって入院加療することも多く,病気・治療に対する不安は大きいものがある.さらに,患者・家族の生活において,長期入院により経済的側面,生活リズムなどに対しても少なからず影響があることや後遺障害を残すことが多いことなどから,生活に対する不安も大きい.したがって,医療従事者に対しては治療のみならず,入院中・退院後の生活に対する配慮,精神的問題への対応が求められる.
本稿では,まず脳梗塞の治療とリハビリテーションの概略を解説する.すでに示されている「事件の概要」などを思い出しながら,改めて確認していただきたい.その上で,実際に起こった介護殺人事件を踏まえて医療従事者が何をすべきかを検討したい.
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