特集 4年制大学における看護技術教育
臨床は大卒ナースに何を期待しているか
OJTでのはじめの3つの目標
鶴田 早苗
1
1神戸大学医学部附属病院看護部
pp.743-744
発行日 2000年10月25日
Published Date 2000/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902350
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神戸大学医学部附属病院(以後本院とする)へ就職する大学新卒者は,昨年本学保健学科の卒業生が出たことから合格者率は昨年38%(応募者率26%),本年54%(応募者率36%)と急上昇している.採用については,国立大学附属病院は定員制という足かせがあり,1名たりとも余分な採用はできない.従って毎年4月,1病棟につき2~3名の新人採用となれば,残っている十数名の看護婦の負担はかなり大きく,戦力は大幅ダウンになるのである.その上この数年の傾向として,たとえ同数の採用者であっても,受け入れ側の負担は量・質ともに大きくなっているという感触をもっている.その理由は複合的で,決して「大卒が多くなった」ことに限定はしないが,しかし彼女ら(彼ら)のもつ特性(ストレス耐性の脆弱さ,技術力の低さ,自尊心の高さと職業意識の低さなど)が要因になっていることも大いにあると考えている.
一方で受け入れ側の病院がもつ問題は更に厳しいものがある.国立大学附属病院に限れば,日進月歩の高度先端医療が臨床でも日常的で,患者の重症度は極めて高い.入院患者の10%以上が重症で中等症,難症を含めると約75%となる(平成9年文部省調査より).また医師の教育体制や臨床軽視傾向,講座制の問題がある.そのような中で看護業務は休むことなく治療,検査,手術への対応(技術力,優先順位,判断力),同時に悪性疾患,難病患者,また高齢者への個別的ケアが続く.このような状況は最近の医療事故にも反映していると憂える.事故多発はこの複雑な医療内容やシステム(絶対的人不足,医師・看護婦の力量不足,連携不足など)をベースにしたヒューマンファクターに起因すると考えるからだ.
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