連載 景色の手帳・7
電信柱
武田 花
pp.488-489
発行日 2000年7月25日
Published Date 2000/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902279
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私は電信柱の写真をよく撮る。煙突も好きだから、真っすぐ突っ立っている棒のような物(太いものは特に)に惹かれるのかも……ちょっと恥ずかしい気もするが。それに、よじ登ってみたい気持ちもあるのかもしれない。
子供の頃の数年間、父の仕事の関係で、夏だけ田舎の温泉に滞在したことがあった。温泉場というより湯治場だ。山の中腹の鄙びた村だった。数軒ある宿のひとつで幾夏かを過ごした。村の広場には誰でも入れる湯があり、競走馬も入りに来ることがあったから、効能は結構あったのだろう。あんな大きな馬にも効くのだから。
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