特別寄稿
教育評価の新しい視点
鹿毛 雅治
1
1慶應義塾大学教職課程センター
pp.474-477
発行日 1999年6月25日
Published Date 1999/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902082
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私たちが持つ暗黙の「評価観」
テスト,点数,成績表,──「教育評価」というと,多くの人はこの種の言葉を連想するに違いない.そして「点をつける」「成績をつける」というように「つける作業」を私たちは教育評価と呼んでいる.このように私たちは,評価に対してあるイメージ(評価観)を持っている.そして,そのイメージは一連の暗黙の前提によって支えられている.すなわち,評価とは成績をつけるために行われるものであり,学期末や学年末など「最後」にやってくる作業である.評価はテストやレポート,面接などの特定の方法によって,特定の場面が設定されて行われるものである.そこでは,知識,技能,態度などが試されるわけだが,評価されるのは常に学生の側であり,評価するのはもっぱら教師の側である.以上のことを自明のことだと思い込んでいる.私たちは暗黙のうちにこのような「評価観」を共有してしまっているらしい.
拙稿では,教育評価の新しい視点を発見するために,まずこの「暗黙の評価観」を疑うところから始めてみたい.
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