スコープ
障害者スポーツへの新しい視点
藤田 紀昭
1
1日本福祉大学社会福祉学部
pp.1110-1112
発行日 1996年11月10日
Published Date 1996/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108248
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今年4月に大阪の南港で行われた車いすマラソン大会で,畑中和選手は42.195キロを1時間40分31秒で走り抜けた.これはこれまでの女子のパラリンピック記録(1時間42分48秒),世界記録(1時間42分00秒)をも上回る素晴らしい記録である.にもかかわらず,私の知る限り,テレビはもとより,新聞もこの事実を取り上げることはなかった.身体障害者のスポーツが,わが国ではまだまだマイナーであると同時に,スポーツとして認知されていないことの証拠でもあろう.
「まひを乗り越えシュート」,「生きるあかし見てください」,「障害克服,投げ走る」
これらは新聞で報道された身体障害者のスポーツに関する記事の見出しである.このように,これまでの身体障害者スポーツに関する報道を見てみると,「障害者であるのにもかかわらず,こんなに頑張っている」という取り上げ方がほとんどで,その内容はスポーツそれ自体ではなく,障害者がスポーツをするという事実に重きがおかれ,新聞であれば社会面か生活面に掲載されることが普通であった.
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