特集 育ち・教える
―第108回看護学セミナー(1998/8/6)講演より―青年期の心理と発達危機―看護学生を理解するために
服部 祥子
1
1大阪府立看護大学
pp.12-19
発行日 1999年1月25日
Published Date 1999/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901995
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人生における青年期の位置
先生方お一人ひとりの目の前の看護学生は,ちょうど青年期にあると思います.その看護学生たちを理解するには,「発達」という生涯つづくプロセスの途上で今青年期を迎えているという視点をお持ちいただくことが大切です.そのことが,学生さんに対する何かしら大きな支援であり,ケアになるというふうにも思いまして,今回のテーマに定めさせていただきました.
思春期・青年期というのは子どもの時間と大人の時間との中間地帯,なんとも中途半端な時間であります.「依存から自立へ」と書いておりますが(資料1),依存でもなければ自立でもない,あるいは依存であり自立でもある,と言えるわけです.現に10代のお子さんをお持ちのお母様やお父様がいらっしゃるかもしれませんが,わが子をみて「なんとも奇妙な存在」とお思いになりませんか? いつまでたっても子どもっぽいことをやられますと,親は「もうあなたは子どもじゃないんだから」と言います.しかし,色気づいて大人っぽいことをやられますと「あなたはまだ大人じゃないんだから」と言います.子どもでもない大人でもない,しかし子どもでもあり大人でもある,そういう矛盾に満ちた時間,これが青年期です.人生のなかで,これほど激動の時間はありませんし,これほど危機的=crisisな時間もないと言われます.
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