交見室
超音波医学1998(その3)
水関 清
1
1森町国民健康保険病院内科
pp.801
発行日 1998年9月20日
Published Date 1998/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902427
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日本超音波医学会第71同学術集会では,工学系の話題として,超音波探触子のための新材料作製(臨泌52:626,1998)とデジタル技術による超音波信号処理という2つの新技術が紹介されたほかに,臨床工学系の話題として,超音波の生体局所作用の1つであるキャビテーションを利用した新しい薬物賦活法(臨泌52:711-712,1998)の現状についての討論が交わされた。
泌尿器科領域の発表では,パワードプラ法(PD)と三次元画像表示法(3D)を併用した小腎腫瘤の質的診断能の検討が目をひいた。超音波診断法を用いた腎腫瘤の存在診断では,Bモード画像による検査手技の習熟が基本となるが,その質的診断においては,カラードプラ法(CD),PDなどの併用によって得られる腫瘤内部の血流の性状などの付加情報が重要となる。CD,PDがdromedary hump,fetal lobulationやBertin柱などの正常変異(いわゆる偽腫瘍)の診断に威力を発揮することはすでに広く認められてきたが,小腎腫瘤の質的診断能に対する系統的な検討は現状ではいまだに少なく,今回の発表は時宜を得たものと思われた。
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