連載 隣人を知ろう―真のチーム医療実現のために・1【新連載】
職種間の違いを知る
鷹野 和美
1
1信州大学医学部衛生学教室
pp.296-297
発行日 1998年4月25日
Published Date 1998/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901816
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チーム医療の時代の到来
高齢社会(国連では,総人口に占める65歳以上の人口が7%を越えると高齢化社会,14%以上が高齢社会,25%以上を超高齢社会と定義しており,日本は1995年に高齢化社会から高齢社会へと移行した)を迎えたわが国では,保健・医療・福祉が統合された形でのサービス提供が求められています.2000年4月に施行される公的介護保険は,①福祉の地域間格差の拡大,②要介護認定の公平性の確保,③サービスを提供するための施設と人材確保の困難性,④低所得者の受給機会の抑制などの多くの問題点を内包しつつも,在宅中心の高齢者ケアの方向性を示しており,そのための支援システム作りや人材育成が急務となっています.生身の生活者である患者に全人的に関わろうとしたとき,人々の生活する地域社会の特性や病気の背景にある生活環境などをトータルに看ていかなければ生活支援はできません.公的介護保険をめぐっての一連の動きは一見新しい考え方のようにも見えますが,医療や福祉の垣根を取り払って,むしろ医療や福祉のもともとの姿に戻ろうとしているのだと思います.
地域に活動の場を求めたいわゆる在宅医療だけでなく,病棟をはじめとする病院内のケアにおいても,地域の生活者であるという認識を忘れ,病棟という特殊な,閉鎖的な環境の中で生活する存在として患者に関わると,ケアの効果や継続性が損なわれ,医療・医療職への不信感を生むことにもなりかねません.
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