巻頭言
説明の難しさ
伊藤 良介
1
1神奈川県総合リハビリテーションセンター
pp.705
発行日 1999年8月10日
Published Date 1999/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109026
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リハビリテーションの開始にあたって医師が最初に行う重要な仕事は,障害の予後について説明することであろう.適切な予後の予測がなければリハビリテーションの目標が設定できず,予後に関する共通の理解がなければリハビリテーションの計画も立てられない.
昨年,当リハビリテーションセンターに脊髄損傷(脊損)病棟が新設され,脊損者の入院数が倍増した.救急病院などから転院する脊損者が,障害の見通しについて説明されてきたことや理解していることは全くまちまちである.疾患の予後はともかく障害の予後について話されていない場合も多く,下肢の完全麻痺であってもリハビリテーション次第で歩けるはずという期待を抱いて入院する場合もある.もし十分な説明もなしにリハビリテーションを始めると,障害者本人の抱いている希望とリハビリテーション担当者の考え方が一致せず,プログラムが円滑に進まない.このようなことを防ぐには,最初に障害の予後について説明し理解が得られていれば良いのであるが,これがなかなか難しい.
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