扉
教育の難しさ
嘉山 孝正
1
1山形大学医学部脳神経外科
pp.3-4
発行日 2002年1月10日
Published Date 2002/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436902145
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教育という単純には最善の答えがでにくいテーマに関して,未だ修行中の自分ではあるが,現時点で感じたり考えていることを書き記してみたい.教育するための教育を受けている訳ではないので独断と偏見も混じりながらの感想文をお許し願いたい.是非とも経験豊富な先輩諸先生方には色々な御意見を教えて頂きたい.
奉職している大学の医学部教務委員長に指名され,昨年の4月から教育の種々に責任がある係わりを持つようになった.それまでの学生教育との接点は,脳神経外科の講義を年数回することと臨床修練で回ってきた学生の相手をするくらいであった.教育方法や内容に関しては自分が受けてきた経験(教育学の講義をわれわれは受けていない)に則り教えていた.自分が教わってきた教育法や内容で十分に教育内容が伝達されると考えていた.しかし,知識は伝達することができても,知識を実際に応用したり理解できてはいないなどとは,何の疑問も持たず過してきた.従来の教育をすれば,ある事物を目の前にした時にわれわれと同様に感じ,考え,それに則って行動できると思っていた.違いがあるとしても,その差は十年くらい先輩からわれわれが新人類と言われたくらいの差しかないと考えていた.表現が異なっているくらいで,根本の価値観や事物への対処の仕方はおおよそ同じだと考えていた.勿論着るものや髪型が異なることに異を唱えるつもりはないし,世代間の社会的な価値観の相違を論じるつもりもない.
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